今回は、地盤調査技術を応用した家庭用簡易井戸についてご紹介します。ひとくちに井戸といっても家庭用の簡易井戸から深井戸、また採掘方法にいたるまでいろいろな種類や手法がありますが、今回は家庭用井戸に特化し、関連する地盤調査手法や井戸の設置方法、費用などについてご紹介していきます。
井戸とは
浅井戸と深井戸の違い
そもそも井戸には浅井戸と深井戸の二種類があり、両者では汲み上げる地下水の種類が異なります。
浅井戸は、約8mほどの深さまでの井戸を指します。地中には硬い岩盤の層がありますが、浅井戸で汲み上げる地下水はこの岩盤より浅い位置に存在する地下水です。家庭用簡易井戸はこの浅井戸に当たります。
一方、深井戸は、深さ約30m以上の井戸を指し、地中の岩盤層より深い地点から地下水を汲み上げます。岩盤層より深い位置に存在する地下水には大きな圧力がかかっており、ほとんど地表の影響を受けないため、水質や水量が安定していることが特徴です。
こうした特徴から、浅井戸の水は水やりなどの生活用水として、深井戸の水は飲み水として利用されることが多いです。
家庭用簡易井戸とは
井戸採掘に使用する装置
出典:(株)明倫開発
今回ご紹介する井戸は、ミニラムサウンディング試験という地盤調査技術を応用した簡易井戸です。主に家庭菜園や生活雑用水として使用できる深さ10m以浅の浅井戸です。地下水を汲み上げるため、断水の可能性がある災害時にも使用でき、水質検査基準をクリアすれば洗濯などの生活用水としても利用可能です。
■水質基準
PH:5.8以上~8.6以下
臭気:異常がないこと
色度:5度以下
濁度:2度以下
ミニラムサウンディング試験とは
出典:(株)明倫開発
ミニラムサウンディング試験は動的貫入試験とも呼ばれ、小型の装置を用い、地盤の堅さを調べる地盤調査手法です。土中に重さ30kgのハンマーを35cmの高さから自動落下させ、直径36.6mmの金属棒(コーン)を打ち込みます。20cm打ち込んだときの打撃回数や装置を回転させるのにかかった力から、地盤の堅さを調べます。
地盤調査というとボーリングが一般的ですが、ミニラムはボーリングに比べ装置が小型のため、より狭い現場に適した試験方法です。主に戸建て住宅における地盤調査などに利用されています。
井戸の設置方法
井戸の設置方法
- ミニラムサウンディング調査で地層を確認する
- ミニラムサウンディング調査で水脈を探す
- パイプを水脈まで打ち込み、ポンプを設置し完了
※電気設備がある場合、電動ポンプを設置することも可能
従来の井戸設置方法との違い
出典:(株)明倫開発
従来のボーリングを利用した井戸の設置には、ボーリング機械搬入のため、約4m四方の施工スペースが必要となります。一方、今回ご紹介する簡易井戸の設置に使用する機械は小型のため、1mほどの幅があれば施工可能です。装置の設置や調査に要する時間も短いため、より狭いスペースでのスピーディーな施工が特徴です。
井戸の設置にかかる費用
ミニラムサウンディングを応用した簡易井戸の設置には、およそ20万円ほどかかります。採掘に必要な調査や作業によってかかる費用は変わるので、正確な金額は見積もりを依頼して確認しましょう。
井戸の設置に許可は必要?
家庭用簡易井戸の設置には、届出の提出は不要の場合が多いですが、自治体によっては地下水の汲み上げを規制している場合があるので、お住まいの地域の規定を確認しましょう。
さいごに
今回は、地盤調査技術を利用した井戸採掘方法についてご紹介しました。災害対策として家庭に井戸を設置するケースが増えていますが、井戸採掘にも地盤調査の技術が応用されています。家庭用簡易井戸、ミニラム、ボーリングなど、より詳しい地盤調査については、(株)明倫開発ホームページをご覧ください。
情報提供:株式会社明倫開発