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コラム

ロームとは?関東ロームの特徴

地層イメージ

地盤調査や地盤改良で土の説明をする際、よくロームという言葉が出てきますが、今回はそもそもロームとは何なのか、そのなかでも関東ロームと呼ばれる土の特徴や強度などをくわしく見ていきます。

 

ロームとは?

地層イメージ2

ロームといえば、関東地方に広く分布している関東ロームがよく知られています。一般に、火山灰が降り積もってできた褐色粘土質の赤土といわれていますが、本来、ロームという言葉自体は土壌区分の一つです。砂、シルト、粘土がほぼ同じ割合で含まれる土壌で、必ずしも火山性土を指すわけではありません。

 

もともと関東ロームという名称は、ロームの本来の意味通り、粒度特性から関東地方に分布する赤土をそのように呼んでいましたが、後に火山灰起源であることがわかったため、火山灰質粘性土をロームと呼ぶようになりました。

 

関東ローム層の起源

火山噴火

ロームの中でも最も有名なのが関東ロームですが、関東ローム層は、第四紀更新世の火山活動に由来する火山灰質粘性土です。神奈川や東京、埼玉に分布する関東ローム層は、約2万年前に訪れた氷期以前に富士箱根火山から噴出した火山灰が堆積しています。新しいものから順に立川ローム層、武蔵野ローム層、下末吉ローム層、多摩ローム層の4層に区分されます。

地質年代

一方、北関東に堆積しているローム層は、富士箱根火山の噴火によるものではなく、浅間山、榛名山、赤城山、男体山など群馬県に位置する火山から噴出した火山灰に由来するといわれています。

 

関東ロームの特徴

団粒構造

土質

関東ローム層は火山灰質粘性土です。粘性土とは、粘土分を主体とする粒径75μm未満の細粒土を指します。粘性土は一般的に含水比が高く、透水性が低いとされますが、関東ロームは含水比が高く、且つ、透水性も高いのが特徴です。粘性土にもかかわらず透水性が高いのは、関東ロームの土粒子が団粒構造をしているからです。団粒構造の土は、土粒子同士が小さな集合体を形成しており、団子状の集合体同士の間に間隙があるため、単粒構造の土より透水性が高いという特徴があります。

 

また、関東ロームは赤褐色をしており、赤土とも呼ばれますが、これは火山灰に含まれる鉄分が酸化し赤褐色に変色したためです。

黒ボク土

関東ロームの上層にはよく黒い土が堆積しています。これは黒ボクと呼ばれる土で、触ると感触がボクボクしていることからこの名がついたといわれています。黒ボクも関東ローム同様、火山灰由来の土ですが、有機物を含むため黒い色をしています。火山灰が堆積した地域の気候によってはその土壌に植物が茂ります。そうした植物が枯れ、土に還った腐食物質を多く含むのが黒ボク土です。

 

黒ボク土は関東ローム同様、保水性と透水性に優れ、鉄やアルミニウムを多く含んでいます。一見、作物に適した土壌のように思えますが、鉄やアルミニウムはリン酸と結合し、固定化します。そのため植物はリン酸の吸収がしにくくなり、生育不良になります。古くから関東地方は不毛地帯として農作物の育成が困難でしたが、黒ボク土がその理由なのでした。

 

強度

自然状態の関東ロームは土粒子間の結合が強く、一般的に構造物を支持できる強度を有しています。しかし、掘削などによりひとたび土粒子間の結合が破壊されると、強度は著しく低下します。また、粘性土である関東ロームはやわらかい地層であるため、地震などの揺れに弱く、過去にも東日本大震災の際には関東ロームが分布する栃木県さくら市で土砂崩れが発生するなどの被害が報告されています。

さいごに

今回は関東ロームについてご紹介しました。土の特徴を知ることで農作物の歴史や過去の災害など私たちを取り巻く環境についての理解が深まると思います。私たちの足元に広がる土は、その地域の自然環境と人々の生活と密接に関わっています。

関連事業

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