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コラム

災害時に考える地盤の重要性

地盤災害イメージ

2024年は能登半島地震や羽田空港での衝突事故など、衝撃的なニュースでの幕開けとなりました。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。地震などの災害時には、土砂崩れや地割れなど地盤に関する報道も数多く見受けられます。こうしたときに改めて、土木技術の重要性を感じさせられます。そこで今回は、「災害時に考える地盤の重要性」というタイトルのもと、どれほど土木技術が私たちの生活の基盤を支えているのか考えていこうと思います。

能登半島地震による被害

令和6年能登半島地震 気象庁深度分布

令和6年1月1日、石川県能登地方を震源とするMj7.6の地震が発生しました。能登地方では最大震度7、石川・富山・新潟の平野部では震度5強が観測されました。この地震により、1月12日現在、石川県内では死者215名、重軽傷者は少なくとも567名が確認されました。(引用元:NHKこの大規模地震を受け、JSCE 交益社団法人 土木学会地震工学員会は1月9日速報会を開催し、地震の概要や被害状況を報告しました。(令和6年能登半島地震(M7.6)に関する速報会

 

1月12日現在も余震は続いており、北東から南西にかけて能登半島を横断する形で活発に発生しています。速報会によると、特に能登半島北部は、ほぼ全域が震源断層の直上に位置していることから、甚大な被害を受けたということです。

 

この地震により、能登半島北部を中心に家屋倒壊、津波、地すべりなどの被害が多発しました。その他にも、港湾の隆起や道路の被害、さらには液状化の発生も見られました。今回は地盤や土木といったものをより身近に感じていただけるよう、地震と地盤の関係性に注目していきます。

 

地震と地盤の関係性

道路のアスファルトの割れ目

地震による被害は、津波、土砂災害、建物倒壊、火災などさまざまです。日本では、2011年に発生した東日本大震災以来、特に津波への警戒意識が高まっています。今回の令和6年能登半島地震の際も、地震速報とともに津波警報が真っ先に報道され、津波への警戒度の高さを物語っています。また、津波同様、家屋の倒壊もまた、地震による大きな被害の一つです。特に大きな地震では建物倒壊が顕著で、被害前後の街の様子の違いには目を瞠るものがあります。

建物倒壊と地盤​

陸上自衛隊 家屋倒壊

今回の令和6年能登半島地震では、旧耐震基準で建築された建物の損壊が深刻でしたが、それに比べ2000年以降に建設された建物については、地震による被害は軽度にとどまっていました。

 

建築基準法の耐震基準は1981年6月に大幅改正されていますが、現在日本国内の住宅総数における約25%がこの耐震基準を満たしていないと推計されています。(引用元:内閣府防災情報のページ

 

また、建物の耐震性において、地盤の役割は不可欠です。地震の際、建物が直面する力は地盤から伝達されるため、地盤が不安定であれば、建物への影響も大きくなります。

 

特に日本はヨーロッパなどの大陸に比べ、複雑な地質から成っており、建物を建築する際は、その地盤がどんな特性をもつのか地盤調査をし、あらかじめ把握することが非常に重要です。しかし、すべての地盤が建築に適切な強度のものとは限りません。地盤の強度が足りないときは、地盤改良により人工的に補強する必要があります。たとえば、軟弱地盤の固化や杭打ちなどの手法があり、これらは建物の安全性を高め、災害時のリスクを軽減します。

 

このように地盤調査や地盤改良といった土木技術は、日本の地震対策の根幹を成し、将来の災害への備えとして不可欠です。

土砂災害と地盤

令和6年能登半島地震 土砂崩れ

土砂災害は、交通インフラにとって深刻な脅威となります。道路の地割れや地すべりなどの現象は、人々の生活に大きな影響を及ぼし、特に災害時においては、道路遮断により孤立地域が生まれるなどの人命に関わる被害を及ぼします。

 

例えば、地すべりは、雨水が地盤に浸透し、地盤内の摩擦力が低下することで発生します。特に山間部や傾斜地では、地盤の安定性が不十分な場合、大規模な地すべりが発生するリスクが高まります。また、地震による揺れも、地盤の不均一性や弱い層に影響を与え、地割れや崩壊を引き起こすことがあります。

 

これらのリスクに対処するためには、建設前の地盤調査や適切な地盤改良が不可欠です。地盤調査により、土地の地質構造や強度、水分含有量などを把握し、必要に応じて地盤改良を行うことで、土砂災害のリスクを大幅に軽減できます。

令和6年能登半島地震 道路の緊急復旧の状況

また、既存の道路に対しても、定期的な点検と維持管理が重要です。特に、災害リスクが高い地域では、監視システムの設置や緊急時の対応計画の策定など、予防策としての取り組みが求められます。

 

地盤の安定性は、交通インフラの安全性と直結しています。土砂災害から交通インフラを守るためには、地盤の強度と安定性に対する深い理解と適切な対策が不可欠であり、これは私たちの生活の安全と直接的に関わる問題です。より多くの人々が地盤の重要性を認識することが、安全な社会基盤を築くことに繋がります。

さいごに

環境イメージ

普段あまり意識することのない地盤ですが、地震などの災害時、その重要性が浮き彫りになります。土木技術は、災害リスクを軽減し、安全な生活環境を提供するために不可欠な役割を担っています。地盤は見えない部分ですが、その重要性は計り知れません。土木は普段意識することの少ない分野ですが、そうした技術が日々の生活を支えていることを認識し、自分の住んでいる地域の地盤環境を把握したり、ハザードマップを確認することは災害への備えとしてとても重要です。

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